上映作品


トーキョーノーザンライツ北欧映画傑作選
散歩する惑星
■ 原題:SANGER FRAN ANDRA VANINGEN
■ 英題:SONGS FROM THE SECOND FLOOR
■ 監督:ロイ・アンダーソン
■ 出演:ラース・ノルド / シュテファン・ラーソン / ルチオ・ヴチーナ / ハッセ・ソーデルホルム
■ 2000年 スウェーデン / フランス ■ 98min ■ 言語:Swedish
 
【受賞】
2000年 カンヌ国際映画祭・審査員特別賞受賞
ストーリー
とある惑星のとある場所。サラリーマンは突然理由もなくリストラされ、マジシャンはマジックに失敗して男の体を本当に切り刻み、カールは保険金欲しさに自分の家具屋に火をつける。彼の次男は精神を病んだ兄のために義姉と子供たちの面倒を見ていた。カールはけっきょく保険金が手に入らず落ちぶれ、やがて街全体も、不穏な空気に包まれてゆく…。
作品紹介
‘70に『スウェーディッシュ・ラブストーリー』で鮮烈なデビューを飾ったロイ・アンダーソンは‘75の『Giliup』を最後にCF界に転じ、その世界の巨匠となるが、それから25年後、本作『散歩する惑星』で、2000年カンヌ映画祭のトリアー監督(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)に「唯一のライバル作品」と言わしめる衝撃の再降臨を果たした。
街路の不気味なデモ隊。果てしなく続く車の渋滞。終末感漂う街を人々はどこへ向かっ
ているのだろうか。人生がどこかでズレて後戻りできなくなった人たち。そして一人、負け戦に抵抗し続けるカールはしまいには亡霊たちに取り憑かれ、途方に暮れて立ち竦む。
心を病み沈黙に閉じこもるカールの長男が、かつて創った詩が暗示するものとは…。
「ふたつの星の間でつまずいて」というサル・バジェホ(ペルーの詩人)の詩にインスパイアされ20年間温めた構想を、4年の歳月を要したアナログ特撮で映像化した本作は、不条理SFの衣をまといながら、人間の哀しさ、愚かさ、可笑しさ、愛しさを徹底的なペシミズムとユーモアで描いたロイ・アンダーソン入魂の一作である。 (雨宮)