上映作品


トーキョーノーザンライツ北欧映画傑作選
ウィルバーの事情
■ 原題:Wilbur Wants to Kill Himself
■ 監督:ロネ・シェルフィグ
■ 出演:ジェイミー・サイヴ / エイドリアン・ローリンズ / シャーリー・ヘンダーソン / マッツ・ミケルセン
■ 2002年 デンマーク / イギリス ■ 108min
■ 言語:English
【受賞】
2003年 バリャドリッド国際映画祭・最優秀男優賞&観客賞
2004年 SIPシティ国際Dシネマフェスティバル・長編映画部門最優秀作品賞
ストーリー
スコットランド、グラスゴー。恵まれたキャリアを持ちながら、極度の自殺願望から逃れられない青年ウィルバー。心優しい兄のハーバーはそんな弟を放ってはおけず、一緒に暮らし面倒を見ていた。そんな中、ハーバーは亡くなった両親から譲り受けた古本屋でシングルマザーのアリスと出逢って結婚し、平穏で幸せな生活を得たはずだったのだが…。
作品紹介
ドグマ’95の手法を取り入れた『幸せになるためのイタリア語講座』(2000)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。イギリス映画『17歳の肖像』(2009)も世界的に評価されたロネ・シェルフィグ監督の日本劇場未公開作。
自殺願望に取り付かれているウィルバーと、彼を気にかけ、愛し続ける兄ハーバー(演じるエイドリアン・ローリンズはハリポタのパパ役!『奇跡の海』でも医師役で出演)。父親の死後、継ぐことになった古本屋でハーバーはシングルマザーのアリスと出会い、幸せな生活を送るはずだった…。
死にたい人間が死なず、その人間の幸せを願う人間が死んでしまうという皮肉。大切にしたいと思いながら、衝動を抑えきれずに大切な人を裏切ってしまうという矛盾。そんな人生のアイロニーを繊細に描く。
ハーバーの深い愛を思う時、自分がその愛に包まれているような、誰かを包んであげたいような、不思議だけど優しい気持ちになってしまう。アリスの連れ子、メアリーの「ハーバーは港(ハーバー)よ。避難所なの。」というセリフがハーバーのすべてを物語っている。
彼はただそこに居て、来る人々を受け入れ、優しく包み込む。 (細川)