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雪深い森の一軒家にはファーとモーという年老いた兄弟が暮らしていた。同じことを繰り返すだけの日々をそれなりに楽しく過ごしていた。
ある日、兄のファーの息子がやってくることになった。かつてスウェーデンに旅行した時に出来た子どもらしい。その息子は車椅子に乗り、卵のコレクションの箱を抱えていた。ほとんど口をきかず、時々雌鶏のような声をあげるその不気味な息子の出現で、ふたりの日常には変化が訪れる…。 |
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『キッチン・ストーリー』や『ホルテンさんのはじめての冒険』で、ほのぼのとしながらも、どこか滑稽に人間を描き、独自の世界に引き込んだベント・ハーメル監督長編デビュー作。最新作『クリスマスのその夜に』では、ハリウッドの豪華キャスト群像劇とは一味も二味も違う作風で観客を魅了した。
そんな監督の原点は、かわいらしいおじいちゃんふたりと不気味なおっさんのコントラストで見せる不思議な物語。冒頭のファーとモーの生活は、デジャヴを見ているような錯覚に陥る演出が楽しい。兄のファーがスウェーデンに旅行したことがあるという過去が、仲良しながらも弟のモーには劣等感を抱かせているようだ。そして、そのファーがその旅行中に息子をこさえており、その息子の世話をしながら一緒に暮らす羽目になったモーの心中やいかに。
息子は一体何者なのか?そして卵の意味するものは?ラストシーンが物語るものは何なのか?「?」だらけになった頭で鑑賞後に語らうのも楽しい一本。
実際に共同生活をしたこともあるというふたりの意気はぴったり合っているが、残念ながらファー役のヒエル・ストルモーンは2010年、モー役のスヴェレ・ハンセンは1995年に他界している。
(細川) |
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