上映作品


Northern Focus - まだまだあります、名作・力作 -
魔女
■ 原題:Häxan/英題:Witchcraft Through the Ages
■ 監督・脚本:ベンヤミン・クリステンセン(Benjamin Christensen)
■ 出演:ベンヤミン・クリステンセン/エラ・ラ・クール/アストリズ・ホルム
■ 1922年 スウェーデン/デンマーク ■ 104min/サイレント ■ 言語:Swedish(text)
ピアノ伴奏付き上映&トークショー開催!
ピアノ伴奏付き上映会:柳下美恵氏(ピアノ/シンセサイザー演奏)
トークショー:柳下美恵氏(サイレント映画ピアニスト)&まつかわゆま氏(シネマアナリスト)
日時:2月12日(日)16:30〜、16日(木)14:00〜 >> 詳細はこちら
※トークショーは、12日(日)16:30〜の回のみ。
ストーリー
ヨーロッパの魔女の世界を、さまざまな史料を駆使して7部構成でたどる「文化史講義」。作品ではまず文献やイラスト、それらに基づく模型等を使って中世の神秘主義を紐解く。その後、魔法や妖術、魔女と悪魔の関係、魔女裁判など魔女をめぐるさまざまななトピックを、当時の資料をもとに構成したドラマで丹念に再現する。最後に「我々の生きている時代」に目が向けられ、魔女と老女、魔女の狂気と神経症の関係について語られ、古来の迷信が未だに根付いていることが示唆されて締めくくられる。
作品紹介
中世の魔女世界を、ドキュメンタリータッチで描いた異色作。冒頭で「講義」などと銘打たれるので、味気なくも思えるがさにあらず。本作のベンヤミン・クリステンセン監督は当初、専門家の協力を仰いだものの相手にされず、自ら3年の歳月をかけて調査研究を行ったという。
そうやって集めた多くの文献・資料類からイラストを引用したり、模型やジオラマを作成して地獄や魔女の世界を解説する。さらに魔女裁判の記録からは、当時の魔女狩りから魔女裁判を経て火刑にいたる過程をドラマ仕立てで再現。この劇中に登場する特殊メイクを駆使した悪魔や化け物の着ぐるみの数々、美術製作の粋を凝らした拷問道具や腐乱した遺体といった大道具、小道具の類は、中世暗黒時代のおどろおどろしさを表現して余りある。また、魔女が箒にまたがって飛翔したり、小さな化け物が登場するシーンでは、画像の合成やアニメーションなどさまざまな特撮技術も駆使して、幻想的な恐怖に満ちた世界が再現される。
本人は意図していなかったろうが、現代人の目からみると、めくるめく見世物小屋、といったテイストに満ちている。本作が「ホラーの聖典」といわれる所以だろう。
製作から90年余が経過した作品だが、今回はオリジナル・バージョンから復元された鮮明なデジタル画像でお届け。映像のディテールまで、劇場の大きなスクリーンでしっかり堪能するまたとないチャンスである。また、特別イベントとして生演奏つきの特別上映も決定。サイレント作品ならではの世界を楽しんでほしい。 (塩田)