上映作品

特別上映

リリア 4-ever

 
 

■原題:Lilja 4-ever/英題:Lilya 4-ever
■監督:ルーカス・ムーディソン (Lukas Moodisson)
■出演:オクサナ・アキンシナ(Oksana Akinshina)/アルチオン・ボグチャルスキー(Artyom Bogucharskiy)/エリーナ・ベニンソン(Elina Benenson)/リリア・シンカレヴァ(Liliya Shinkaryova)
■2002年 スウェーデン・デンマーク■107min
■言語:ロシア語・スウェーデン語・英語・ポーランド語(Russian, Swedish, English, Polish)
■字幕:日本語

    2003年スウェーデンアカデミー(グルドバッゲ)賞最優秀作品賞、監督賞ほか6冠

        2/9(日)21:10〜


ストーリー

旧ソ連の殺伐とした郊外で暮らす16歳のリリアは、母親とその恋人と一緒にアメリカへ渡る日を夢見ていた。しかし、「後から来て。」と、リリアを置いて、母親は恋人とアメリカに行ってしまう。すぐに意地悪なおばからアパートを追い出され、生活に困窮した上に、仲の良かったはずの友達にも裏切られてしまう。唯一の心の拠り所は、彼女を慕う11歳の少年、ヴォロージャだけだった。彼もまた、アル中の父親に見棄てられていた。クラブで男を見つけては日銭を稼ぎ、なんとか生活していたリリアは、アンドレイという青年と出会う。優しく接してくれるアンドレイから、スウェーデンで暮らそうと誘われるが、ヴォロージャは「騙されている。」と反対する。ヴォロージャの忠告を聞き入れず、リリアはひとり、甘い希望を胸にスウェーデンへと向かうが…。


作品紹介

ルーカス・ムーディソン監督最新作『ウィ・アー・ザ・ベスト!』の第26回東京国際映画祭サクラグランプリ受賞を記念して、TNLF2011「ルーカス・ムーディソン監督特集」の上映作品の中から本作を再上映。
撮影当時、14歳だったオクサナ・アキンシナが運命に翻弄されるヒロインを体当たりで演じている。手持ちカメラを多用した映像は、その場に居合わせているような錯覚を起こさせ、人物をより身近に感じさせる効果を出している。リリアもヴォロージャも、すぐそこにいるのに、手を差し延べられないもどかしさ。なぜ、16歳の少女がこんなにも悲惨な運命を強いられなければいけなかったのか。
オープニングからドイツのメタルロックバンド、ラムシュタインの”Main Herz Brennt”が印象的に使われ、日本でもヒットしたt.A.T.uの”Not Gonna get us”のロシア語バージョンが使われるなど、楽曲のセンスも光る。(ちなみに、t.A.T.uのレズキャラはムーディソン監督の『ショー・ミー・ラヴ』からアイディアを得ている。)
英映画誌TOTAL FILMの「気がめいる陰うつな映画30本」を始め、「鬱になる映画」「後味が悪い映画」などのランキングでランクインしてしまう本作だが、目を背けてはいけない問題を提起している。これは、ムーディソン監督による、社会の闇に対する告発なのだ。エンドクレジットの最後に、監督からのメッセージがあるので、最後まで見届けて欲しい。 (細川)