上映作品

北欧パノラマ

ボス・オブ・イット・オール

 
(ジャパンプレミア)
 

■原題:Direktøren for det hele■英題:The Boss of It All
■監督:ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)
■出演:Jens Albinus/ピーター・ガンツェラー(Peter Gantzler)/フリドリック・トール・フリドリクソン/(Friðrik Þór Friðriksson)/ベネディクト・エルリングソン(Benedikt Erlingsson)/ジャン=マルク・バール(Jean-Marc Barr)
■2006年 デンマーク、スウェーデン、アイスランド、フランス、イタリア、ドイツ■99min
■言語:デンマーク語、アイスランド語、英語、ロシア語(Danish, Icelandic, English, Russian)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】

        [ユーロスペース]  2/7(土)16:30〜  2/9(月)16:30〜  2/13(金)19:00〜




ストーリー

IT企業経営者のラウンは、架空の社長”ボス・オブ・イット・オール”を仕立て上げ、自分は一従業員の振りをしていた。従業員たちに取り入るために、彼らが嫌がる決断は架空の社長のせいにして嫌われ役をなすりつけていたのだ。
ラウンは秘密裏に会社の売却を進めていたが、ある日、取引相手のアイスランド人の社長が、責任者に会いたいと言い出した。困った彼は、役者のクリストッフェルを社長の替え玉として雇い、取引相手にだけこっそり会わせようと目論む。しかし、従業員らと出くわしてしまったクリストッフェルは、自分が社長だと名乗ってしまい…。


作品紹介

純粋なコメディ映画の制作を望んでいたラース・フォン・トリアーが50歳を機に制作した、替え玉社長とクセのある従業員たちとの騒動を描くオフィス・コメディ。
ラウン役を『幸せになるためのイタリア語講座』(2000)のピーター・ガンツェラー、クリストッフェル役を『ニンフォマニアック Vol.1』(2013)、『イディオッツ』(1998)のJens Albinusが演じる他、トリアー作品常連のジャン=マルク・バールや、『ハイ・フィデリティ』(2000)のイーベン・ヤイレらが個性的なキャラクターを嬉々として演じている。さらに、アイスランドの名匠フリドリック・トール・フリドリクソン監督と、『馬々と人間たち』(2013)のベネディクト・エルリングソン監督が、アイスランド人社長とその通訳役を好演。ナレーションは監督自らが担当し、チャプターの役割を果たしている。
本作は、フレームを決めてボタンを押すと、ティルト、動き、ズームなど6〜8種類のランダムな設定で撮影ができる「オートマヴィジョン」と呼ばれるコンピューター制御による新しい手法を使って撮影されている。
固定カメラや手持ちカメラなど、様々な方法での撮影を試みていたトリアーだが、『マンダレイ』(2005)を振り返り、「以前やったことと同じことをしてしまった。それは非常におもしろくないことだ。」と語り、「次回作は、自分が楽しめるものにする必要があると考えた。」と当時のインタビューで語っている。不自然に切り替わるカメラワークに戸惑う方も多いと思うが、万事をコントロールすることが好きな「コントロール・フリーク」のトリアーは、本作では自身がコントロールできない状況を楽しんだようだ。 (細川)