上映作品

ピルヨ・ホンカサロ監督特集

独特の映像表現が印象的な、フィンランドを代表する映画作家のひとりであるピルヨ・ホンカサロの魅力に迫る。

“糸”〜道を求める者の日記〜

■原題:ITO - Seitti - Kilvoittelijan päiväkirja■英題:Ito: A Diary of an Urban Priest
■監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)
■出演:藤岡善信
■2008年 フィンランド、日本■111min■言語:フィンランド語、日本語(Finnish, Japanese) ■字幕:日本語

劇場初上映
この作品は、2009年にNHKのシリーズ『東京モダン』で放送されました。
2/8(月)11:30〜 2/11(木)16:30〜

ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)
1947年、ヘルシンキ生まれ。17歳で映画制作を学び始め、67年に短編を初監督。70年にフィンランドでは女性として初めて長編映画を撮影。フィクションでは脚本も手掛け、ドキュメンタリーでは撮影監督も務める。写真や舞台芸術など、アートの分野でも広く活躍している。

トークショー情報
2/11(木)16:30〜 上映終了後

ゲスト:藤岡善信 / まつかわゆま
主演の藤岡善信さんとシネマアナリストのまつかわゆまさんのトークショー決定!

 

四ッ谷にある坊主バーを営む僧侶の藤岡は、かつてはボクサーだったが、致命的なケガ負い、リングを下りて仏門に入った。悩み相談が目的で訪れるバーの客、受刑者、ボクシングの元コーチ、同業者、そして母親…人々と向き合い、対話をしながら、自身もまた生きる意味を模索していく。

フィンランドのピルヨ・ホンカサロ監督が、東京の若い僧侶を追ったドキュメンタリー。幼い頃に両親が離婚し、母方の祖母の家で育てられた藤岡は、仏教に熱心な彼女の影響で僧侶になったと語る。幼い頃に自分を捨てた母親、そしていつまでも自分を認めようとしない父親、断念せざるを得なかったボクサーの道…人々の悩みに耳を傾けながらも、僧侶である前に、ひとりの人間として悩む姿が映し出される。
ドキュメンタリー作品では、自ら撮影監督も務めるというホンカサロ監督。刑務所での撮影や被写体との距離の近さから、事前の信頼関係の構築を入念に行っていることが窺える。藤岡本人の言葉で語られるナレーションに、幻想的な夜の東京の風景と、その構成と映像センスからも監督のこだわりが感じられる。本作は、数々の国際映画祭で上映され、2009年にNHKのシリーズ『東京モダン』で放送された。日本国内で劇場上映されるのは今回が初である。
坊主バーの店内には仏壇もあり、お経をあげる時間もある。ボブ・ディランに傾倒したこともある藤岡は、坊主バンドのリーダーとしてもライブ活動も行っている。(細川)