上映作品

NORTHERN FOCUS

北欧映画界を牽引する監督たちの待望の新作、未公開作を一挙上映!第一線で活躍し続けている注目すべき監督たちにフォーカスする。

ウィ・アー・ザ・ベスト!

■原題:Vi är bäst!■英題:We Are the Best!
■監督:ルーカス・ムーディソン(Lukas Moodysson)
■出演:ミーラ・バルクハンマル(Mira Barkhammar),ミーラ・グロシン(Mira Grosin),リーヴ・ルモイン(Liv LeMoyne),デヴィット・デンシック(David Dencik),Anna Rydgren
■2013年 スウェーデン■102min■言語:スウェーデン語(Swedish) ■字幕:日本語
■提供:ロングライド

2013年東京国際映画祭サクラグランプリ
劇場未公開
2/6(土)11:30〜 2/10(水)16:30〜 2/12(金)19:00〜

ルーカス・ムーディソン(Lukas Moodysson)
詩人として成功を収めた後、女の子同士の恋をポジティブに瑞々しく描いた長編デビュー作『ショー・ミー・ラヴ』(98)で国内外で数々の賞を受賞。大ヒットを記録し、熱狂的なファンを生んだ。『エヴァとステファンとすてきな家族』(00)、『リリア 4-ever』(02)、『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(13)と、10代を描いた作品で特に支持されている。TNLF2011の監督特集でも好評を博した。鋭い洞察力で社会を風刺しながらも共感を呼ぶキャラクターを創り出し、温かいまなざしで描く。音楽通で、劇中の選曲にもそのセンスが光る。

トークショー情報
2/10(水)16:30〜 上映終了後

ゲスト:大貫憲章
音楽評論家。立教大学在籍時より執筆活動を始め、そのキャリアは40年以上。パンク含めロックに造詣が深い。1980年から日本で初めてのロックで踊れるDJイベント「LONDON NITE」を主宰。Inter-FMのラジオ番組「Kenrocks Nite-Ver.2」では司会を務める。主な著書は『DJ ALL TIME CLASSICS 200 大貫憲章』、『ロンドン・ナイト・ディスク・ガイド』など。

母子家庭のボボと、放任主義の家庭で育ったクラーラは、パンクが大好きな13歳。ヘアスタイルもパンクにキメているふたりは、学校にも家族にも不満がいっぱい。勢いでパンクバンドの結成を思い立つけど、音楽経験のないふたりは練習もままならない。名ばかりのバンド活動を続けていたある日、学校の発表会で見事な腕前でアコースティックギターを演奏するヘドヴィグに目を付ける。早速ヘドヴィグをメンバーに引き入れるが、彼女の家庭は敬虔なクリスチャン一家だった…。

家庭環境も性格もまったく違う個性豊かな3人が、家庭の事情で悩んだり、時にぶつかり合いながら少しずつ成長していく。思春期の少女たちの繊細で複雑な感情と、弾けるほどの輝きを描く。原作はルーカス・ムーディソンの妻であるココ・ムーディソンの自伝的グラフィックノベルで、ヘドヴィクの妹役はムーディソン夫妻の娘。2013年の東京国際映画祭には、家族で来日し、夫婦揃ってQ&Aに登壇した。
舞台は82年のストックホルム。各国から注目されていた「スウェーデン・モデル」と呼ばれる独自の経済、社会政策が二度のオイルショックによって翳りを見せ始め、新たな政策「第三の道」がとられようとするなど、社会的には不安定な時代。個人主義も成熟し、放任主義の家庭も多く、当時子供だったココ・ムーディソンは寂しい思いをしたと語っている。
ヘアスタイルこそパンクを気取って短く刈り上げているけれど、着ている服は親が買い与えたであろう年頃の女の子のかわいらしいファッションなのが微笑ましい。(細川)