上映作品

 トーキョーノーザンライツフェスティバル2013では、世界的に評価の高い北欧の映画作家たちの名作・旧作・劇場未公開作品を一同に集め、みなさまのご来場をお待ちしております!
 ※すべての作品には日本語字幕がついています。(All Films are with Japanese subtitles only except identified as "With English subtitles")

ノルウェー映画の新しい風

近年、意欲作が次々に創りだされているノルウェー映画界。今回は多くの作品の中から、厳選した新作3本をお届けいたします!

チャイルドコール 呼声

原題:Babycall/英題:The Monitor
監督:ポール・シュレットアウネ (Pål Sletaune)
2011年/ノルウェー・ドイツ・スウェーデン
ノルウェー語・スウェーデン語・英語(Norwegian,Swedish,English)
字幕:日本語/96min
2012年ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞、主演女優賞ほか、4冠

(ジャパンプレミア)

静寂の中、チャイルドコールから聞こえてきた悲痛な叫び。夫の暴力から逃れ、8歳の息子アンデシュと隠れ暮らすアナ。彼女がたどりつい た驚愕の結末、そして最後に明かされる真実とは…。TNLF2012上映の『隣人 ネクストドア』に続き、妄想と現実のはざまで微動する、さら に磨きのかかったシュレットアウネの心理迷宮ミステリー。今回も予測 を裏切る展開に翻弄される。ガイ・リッチ―、リドリー・スコット、ブラ イアン・デ・パルマなど名だたる監督達に愛され続ける北欧の稀石、ノオミ・ラパス主演。

キング・カーリング

原題:Kong Curling/英題:King Curling
監督:オーレ・エンドレセン (Ole Endresen)
2011年/ノルウェー/ノルウェー語(Norwegian)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/75min

(ジャパンプレミア)

“ノルウェーのウィル・フェレル”、アトレ・アントンセン主演のスポーツコメディ。精神的な問題で引退した元カーリングの名選手が、重病の恩師のため、かつての仲間を集め 再び試合に挑む。クセのある登場人物たちが織りなすおかしな人間模様を、心くすぐるユーモアとペーソスで綴った、70年代風ファッションも楽しい快作!

真実の恋

原題:Jørgen+Anne=sant/英題:Totally True Love
監督:アンネ・セウィッツキー (Anne Sewitsky)
2011年/ノルウェー/ノルウェー語・英語(Norwegian, English)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/83min
2011年ノルウェーアカデミー(アマンダ)賞最優秀編集賞受賞

10歳には10歳なりの本気の恋がある!恋なんてまだまだ早いと思っていたおてんば娘、アンネに突然訪れた恋の季節。ライバルはおませな美少女のエレン。アンネはエレンを蹴落としてでも、彼の恋人になろうと画策するが…。子供の無邪気な悪意も瑞々しく描きだす、痛くて苦くて、それでも甘い初恋物語。

劇場未公開傑作選!

ジャンルを問わず、バラエティに富んだイチ押しの作品をご紹介します。

サウンド・オブ・ノイズ

原題:Sound of Noise/英題:Sound of Noise
監督:オラ・シモンソン(Ola Simonsson)
ヨハネス・シェルネ・ニルソン(Johannes Stjärne Nilsson)
2010年/スウェーデン・フランス/スウェーデン語(Swedish)
字幕:日本語/102min/ 提供:アット エンタテインメント
2010年カンヌ国際映画祭ヤング批評家賞最優秀劇映画賞受賞

(ジャパンプレミア)

突如街に現れた謎の6人組。彼らはあらゆるものを楽器に見立て、とんでもない場所で音楽を作り上げる音楽テロリストだった! 彼らを追うのは音痴で音楽嫌いの警察官、アマデウス。事件現場に残されたメトロノームを頼りに奔走するが…。“音楽”による “テロ”を描いた新感覚エンターテインメント。前代未聞のギグが今、始まる!

サイレンス

原題:Hiljaisuus/英題:Silence
監督:サカリ・キルヤヴァイネン(Sakari Kirjavainen)
2011年/フィンランド/フィンランド語(Finish)
字幕:日本語/111min
2012年フィンランドアカデミー(ユッシ)賞、最優秀主演男優賞、最優秀音楽賞ほか4冠

継続戦争のフィンランド・ソ連戦線。戦死者の一時収容施設に若いエイノと同郷のアンティ、そしてコルピカンガスが配属される。死者の声が聞こえるというコルピカンガスは夜通し遺体に付き添い、エイノは遺体の回収と修復を黙々とこなすが、アンティは同僚女性に誘われ、闇商売に…。死の傍らで、人間ドラマが繰り広げられる。

北欧映画の豊かな歴史に目を向ける企画です。TNLF2012の『魔女』に続き、知られざる巨匠 クリステンセン監督の傑作『密書』とイングリッド・バーグマンの初期作品2本をお送りします。

1879年生まれ。1910年代のデンマーク映画黄金期におけるもっとも個性的な監督、脚本家、俳優。
当初オペラ歌手を志すが極度のあがり症だったため映画界に転身した。スリルに富んだ視覚的な演出に優れ、一時期はドイツやハリウッドでも活躍した。帰国後10年間の休止期を経て4作を発表。晩年は映画館の経営に転ずる。

密書

原題:Det hemmelighedsfulde X/英題:Sealed Orders
監督:ベンヤミン・クリステンセン(Benjamin Christensen)
1914年/デンマーク/サイレント(silent film)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/85min

クリステンセンが製作・脚本・編集・主演の4役を兼ねた監督デビュー作。海軍将校ヴァン・ハウエンは敵方のスパイ、スピネッリ伯爵に陥れられスパイ容疑で軍法会議に。一族の名誉のために真実を証言できない彼は死刑を宣告される…。サスペンスを盛り上げる照明設計、カメラワーク、編集、美術、すべてが現代にも通用しうる驚くべき水準。緊張感の中に、メロドラマ要素と絵画的映像の美しさが香り立つ必見の一作。

伴奏:柳下美恵 (Mie Yanashita)
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専修卒業。1995年に朝日新聞社主催映画誕生100年記念上映会でデビュー。国内外の映画祭、映画館で伴奏多数。紀伊國屋書店発売の『魔女』の音楽を担当。TNLF2012で伴奏し、好評を得る。

ワルプルギスの夜

原題:Valborgsmässoafton/英題:Walpurgis Night
監督:グスタフ・エドグレン(Gustaf Edgren)
1935年/スウェーデン/スウェーデン語(Swedish)
字幕:日本語/81min

新聞王フレデリックの娘レナは、会社社長ヨハンの秘書として勤めていた。妻のいるヨハンに恋心を抱くレナだったが、ワルプルギスの祭りの夜、叶わぬ恋と身をひく。だがヨハンもまた、レナを愛していたのだった。ヨハンは妻クラリーが堕胎手術をし、そのことをネタにゆすられていることを知る。バーグマンの初主演作品。

女の顔

原題:En kvinnas ansikte/英題:A Woman's Face
監督:グスタフ・モランデル(Gustaf Molander)
1938年/スウェーデン/スウェーデン語(Swedish)
字幕:日本語/100min
1938年ヴェネチア国際映画祭特別推薦

バーグマン演じる少女アンナの顔には、ひどいケロイドの痕が残る。そのため人前に出られず、ゆすり屋の一味に。ある日彼らの標的となった家で主人の整形外科医と知り合い、ケロイドを取り去る手術を受ける。美貌を回復した彼女は、裕福な家の家庭教師となるが…。若いバーグマンが挑んだ醜女役。濁声の演技も初々しい。

アイスランド映画は、フリドリクソン監督だけじゃない!2003年に『氷の国のノイ』をひっさげ、北欧の小国からその新たな才能を世界中にアピールしてみせた映画監督、ダーグル・カウリ。彼の国際的人気を決定づけた代表作2本をクローズアップします!
田舎に暮らす孤独な少年の心情を、ユーモアたっぷりに描いたデビュー作『氷の国のノイ』。エキセントリックな登場人物たちのどこか憎めない日常を描き、日本でも長らく公開が待ち望まれていた傑作『ダーク・ホース』。
TNLF2013のために特別に撮りおろしたカウリ監督スペシャル・インタビュー映像も上映決定!(※『ダーク・ホース』本編上映後)
この機会にぜひご覧ください!

1973年、アイスランド人の両親のもとフランス、パリで生まれる。幼少時をアイスランドで過ごした後、1999年にデンマーク国立映画学校を卒業。卒業制作作品である短編『Lost Weekend』は11の国際映画祭で上映、注目を集める。
長編デビュー作となった『氷の国のノイ』は、2003年のアイスランドアカデミー(エッダ)賞の最優秀作品賞を受賞。同作品はロッテルダム映画祭を始めとした多くの国際映画祭でも数々の賞を受賞し、フリドリク・トール・フリドリクソン監督に続くアイスランド映画の才能として国際的知名度を獲得する。 続く『ダーク・ホース』は2005年カンヌ国際映画祭の『ある視点』部門に公式招待。翌年の「アイスランド映画祭」ではフリドリクソン監督とともに初来日を果たしている。
国際的評価が高まる中、2008年には自身初となる英語作品『The Good Heart』を完成、ポール・ダノやブライアン・コックスといった有名俳優の出演が話題となった。 また、ローファイ・バンド「スロウブロウ」のメンバーとして4枚のアルバムを発表、うち1枚は『氷の国のノイ』のサウンドトラックである。 現在は映画制作に専念しており、次回作は久々にアイスランドを舞台にした作品を準備中とのことで、さらに期待が高まる!

ダーク・ホース

原題:Voksne Mennesker/英題:Dark Horse
監督:ダーグル・カウリ (Dagur Kári)
2005年/デンマーク・アイスランド/デンマーク語(Danish)
字幕:日本語/106min
2005年アイスランドアカデミー(エッダ)賞、最優秀作品賞、最優秀音楽賞ほか4冠
ダーグル・カウリ監督によるTNLF2013スペシャルインタビューも同時上映!

アーティストのダニエルは、収入もなくアパートは追い出される始末。相棒のモーファとの冴えない毎日が、職場で倒れたパン屋の店員フランチェスカを助けた日からゆっくりと変わり始める…。アイスランドの若き才能ダーグル・カウリ監督が、その独特のユーモアと爽やかなモノクロ映像で描いたシュール&ポップなラブストーリー!

氷の国のノイ

noi

原題:Nói albínói/英題:Noi the Albino
監督:ダーグル・カウリ (Dagur Kári)
2003年/アイスランド・ドイツ・イギリス・デンマーク/アイスランド語(Icelandic)
字幕:日本語/93min
2003年アイスランドアカデミー(エッダ)賞最優秀主演男優賞、
最優秀作品賞ほか6冠

ノイは田舎町の高校生。毎日が退屈でトラブルを起こしてばかり。見かねた先生はノイを病院へ連れて行くが、検査してみると彼はIQ の高い天才だった! ますます孤独感を募らせるノイは、都会帰りの美少女イーリスと一緒に町から逃げ出す決意をする!全編に流れるスロウブロウの音楽も素晴らしい、カウリ監督の長編デビュー作。

『ドライヴ』の衝撃的な出現で一躍注目されるようになったデンマーク映画界の異端児、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の日本未公開作品2本を一挙上映!
1996年に『プッシャー』を発表して以降、世界中でカルト的な人気が高まるなか、日本ではその作品のほとんどが劇場未公開、未ソフト化のままであった。今回のTNLFでの上映が、スクリーンでレフン作品を観る貴重な機会となることは確実。
クールなバイオレンス描写とロマンティックな味わいが絶妙なハーモニーを織りなすレフン作品の原点ともいえる傑作2本をお見逃しなく!

1970年、デンマークのコペンハーゲン生まれ。トリアー作品などで活躍する映画編集マンの父と撮影監督の母の間に生まれるが、両親の愛するヌーヴェル・ヴァーグを嫌い、アメリカン・ホラーに熱中して少年時代を過ごす。
8歳から約10年間ニューヨークで暮らした後、コペンハーゲンでの高等教育を終了、NYに戻りアメリカンアカデミーの芸術科に入学するも教室の壁に机を投げつけて退学させられる。デンマーク映画学校に入学するがこれは学期前に自主退学。
その後、自ら監督、脚本、出演した短編映画がケーブルTVで放映されて注目を集め、320万クローネの助成金を得たことが大きな転機となる。
1996年にデビ ュー作となる『プッシャー』を発表してたちまち国際的に注目される監督の1人となり、その後も会社の倒産、再建、ハリウッド進出など波乱の映画人生を邁進中である。

ブリーダー

原題:Bleeder/英題:Bleeder
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン (Nicolas Winding Refn)
1999年/デンマーク/デンマーク語(Danish)
字幕:日本語・英語【With English subtitles】/98min

(ジャパンプレミア)

妻の妊娠がわかって以来暴力衝動が抑えられないレオ。ビデオ屋の店員で映画マニアのレニー。二人は仲間達との深夜のB級映画鑑賞が習慣になっていた。ある日レニーは、デリカショップで働くレアに心惹かれ、近づこうとするが…。加速しつつ溶け合ってゆく内なる暴力とロマンティシズム! レフンのスタイリッシュな演出が光る。

Fear X

原題:Fear X/英題:Fear X
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン (Nicolas Winding Refn)
2003年/デンマーク・カナダ・イギリス・ブラジル/英語(English)
字幕:日本語/91min

(ジャパンプレミア)

レフン初の英語作品。主演はジョン・タトゥーロ。亡き妻への思慕を抱き続ける男の孤独と狂気。彼を妻の死の真相へと導くものとは…。単なるクライム・サスペンスにとどまらないレフンならではのラブストーリー。この世ならざる世界との境界に立ち現れるエレベーターは『ドライヴ』の世界へとそのまま続いていく。

TNLFでは今後、北欧5か国以外の国にもスポットを当てていきます。 2013年にお送りするのは、エストニアのアニメと、「命のビザ」で有名な杉原千畝のドキュメンタリーです。

マッティ・キュット短編集

■薫製スプラットを太陽の下で焼く(左上)
原題:Sprott votmas paikest/英題:The Smoked Sprat Baking in the Sun/1992年/24min
■リトル・リリィ(右上)
原題:Plekkmae Liidi/英題:Little Lilly/1994年/16min
■アンダーグラウンド(左下)
原題:Porandaalune/英題:Underground/1997年/10min
■ボタン・オデッセイ(右下)
原題:Noobi odusseia/英題:Button's Odyssey/2002年/18min
監督:マッティ・キュット(Mati Kutt)
エストニア/ エストニア語・英語(Estonian,English)/字幕:日本語

エストニアの作家マッティ・キュット(1947年生まれ)。“エストニアのヤン・シュヴァンクマイエル”と呼ばれ、シュルレアリスム・アニメの最高傑作『空の歌(原題:スカイ・ソング)』で一部熱狂的な支持を得る未知の巨匠の代表作を特集。 海底に住む男と陸地に住む魚とのやりとりから、人間の欲望をコミカルに描くオペラ劇『薫製スプラットを太陽の下で焼く』。言動が矛盾している父親に怒り、食事を拒んで小さくなる少女の反抗劇をカラフルに描いた『リトル・リリィ』。ピクシレーション(人間のコマ撮り)を使い二次元と三次元の不思議な往復が観る者を魅了する『アンダーラウンド』。夢と現実を往来するボタン君の冒険旅行『ボタン・オデッセイ』の4本。

杉原千畝の決断

原題:Sugihara:Conspiracy of Kindness
英題:Sugihara:Conspiracy of Kindness
監督:ロバート・カーク(Robert Kirk)
1999年/アメリカ・日本/英語(English)
字幕:日本語/103min

第二次大戦中の1940年、外務省の命令に背き、ナチスの迫害を逃れた多くのユダヤ人難民に大量のビザを発給して約6千人の命を救った、駐リトアニア領事代理・杉原千畝の実像に迫る歴史ドキュメンタリー。なぜ、杉原は自らの職を賭してまで避難民を救ったのか? 多くの証言と映像から浮かび上がる“無私”の姿に、胸を打たれる。