北欧映画界を牽引する監督たちの待望の新作、未公開作を一挙上映!第一線で活躍し続けている注目すべき監督たちにフォーカスする。
ダーグル・カウリ(Dagur Kári):デビュー作『氷の国のノイ』(03)で国際的に高い評価を得、これまでに4本の長編を監督。社会のはみ出し者に対する包み込むような優しさとアイロニカルな視点を併せ持ち、独特の映像センスと自ら手掛けるメランコリックなスコアで観る者の心に静かな余韻を残す。音楽ユニットSlowblow のメンバーとしても活躍中。
好きにならずにいられない
■原題:Fúsi■英題:Virgin Mountain
■監督:ダーグル・カウリ(Dagur Kári)
■2015年 アイスランド■93min■言語:アイスランド語(Icelandic)
■字幕:日本語
■提供:マジックアワー
43歳独身、オタク、母親と同居、シャイで冴えない大男のフシは、嵐の日、心に傷を負ったひとりの女性と出会う。常に人から馬鹿にされてきた彼だったが、彼女が自然に接してくれたことをきっかけに孤独な人生が変っていく。第12回ノルディック映画賞を受賞。2015年の北欧映画No.1に輝いた心に沁み入る感動作。
ルーカス・ムーディソン(Lukas Moodysson):詩人として成功を収めた後、女の子同士の恋を瑞々しく描いた長編デビュー作『ショー・ミー・ラヴ』(98)が国内外で数々の賞を受賞、大ヒットを記録した。鋭い洞察力で社会を風刺しながらも共感を呼ぶキャラクターを創り出し、10代の心情をリアルに映し出す作品に熱狂的なファンも多い。音楽通で、劇中の選曲にもそのセンスが光る。
ウィ・アー・ザ・ベスト!
■原題:Vi är bäst!■英題:We Are the Best!
■監督:ルーカス・ムーディソン(Lukas Moodysson)
■2013年 スウェーデン■102min■言語:スウェーデン語(Swedish)
■字幕:日本語
■提供:ロングライド
パンクが大好きな13歳のボボとクラーラは学校にも家族にも不満がいっぱい。音楽経験もないまま、勢いだけでバンドを結成した二人は、ギター上手で敬虔なクリスチャンのヘドヴィグをメンバーに誘うが…。82年のストックホルムを舞台に、少女たちの弾けるほどの輝きを描いた東京国際映画祭グランプリ受賞作、ついに登場!
アナス・トマス・イェンセン(Anders Thomas Jensen):スサンネ・ビア作品など多くの脚本を手掛け、観る者の感情を揺さぶるシリアスなドラマを得意とする一方で、スリラーや犯罪ものなど幅広く書き分ける。映画監督として米アカデミー短編映画賞を受賞。4本の長編を制作し、高い評価を受けている。ブラックコメディをベースにしながらも、人間の心理を追求した独特の世界観を展開させる。
メン&チキン
■原題:Mænd og høns■英題:Men & Chicken
■監督:アナス・トマス・イェンセン(Anders Thomas Jensen)
■2015年 デンマーク■100min■言語:デンマーク語(Danish)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
冴えない大学教授の弟ガブリエルと、女とトリビアにしか興味がない兄エリアスは、父の死後、彼が自分たちの生物学的な父親ではなく、それぞれ母親も違うことを知らされる。そこで、本当の父親を訪ねた二人は、さらに三人の異母兄弟に遭遇する…! 家畜だらけの寂れた屋敷で、クセ者揃いの男たちが巻き起こす奇想天外なルーツ探し狂想曲。
ビレ・アウグスト(Bille August):78年に長編デビュー。『ペレ』(87)のパルムドール受賞で国際的に注目を集める。同作に惚れ込んだベルイマンが脚本を送った『愛の風景』(92)で2度目のパルムドールを獲得。以降、『愛と精霊の島』(93)、『リスボンに誘われて』(13)など国際共同製作作品を手掛けながら、本国での制作も続けているデンマーク映画界の重鎮。
サイレント・ハート
■原題:Stille hjerte■英題:Silent Heart
■監督:ビレ・アウグスト(Bille August)
■2014年 デンマーク■98min■言語:デンマーク語(Danish)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
ALSを発症し、病気が進行する前に安楽死の道を選んだエスターと、それを支える夫で医師のポール。二人の元に娘たちが家族や恋人を連れて集まり、一足早いクリスマスパーティーが開かれる。母親の決断を一度は受け入れた娘たちだったが、やがてそれぞれの心は揺らぎ始め…。愛する者の死に直面した家族の葛藤が静かに描かれていく。
独特の映像表現が印象的な、フィンランドを代表する映画作家のひとりであるピルヨ・ホンカサロの魅力に迫る。
ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo):1947年、ヘルシンキ生まれ。17歳で映画制作を学び始め、67年に短編を初監督。70年にフィンランドでは女性として初めて長編映画を撮影。フィクションでは脚本も手掛け、ドキュメンタリーでは撮影監督も務める。写真や舞台芸術など、アートの分野でも広く活躍している。
コンクリート・ナイト
■原題:Betoniyö■英題:Concrete Night
■監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)
■2013年 フィンランド、スウェーデン、デンマーク■96min
■言語:フィンランド語(Finnish)
■字幕:日本語
ヘルシンキで母親と暮らしている14歳のシモと、24時間後に服役が決まっている兄のイルッカ。兄弟は最後の時間を過ごすため、街へと出かけるが…。水底に沈む悪夢に捕われている思春期のシモの不安定な感情を繊細なタッチで描く。兄弟それぞれの運命的な一日がワイドスクリーンの幻想的なモノクロームの映像で映し出されていく。
白夜の時を越えて
■原題:Tulennielijä■英題:Fire-Eater
■監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)
■1998年 フィンランド■105min
■言語:フィンランド語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語(Finnish,German,Russian,Spanish)
■字幕:日本語
酒場で唄う少女との出逢いから、ヘレナは忘れたい過去を蘇らせる。母に連れて行かれたサーカス団で、空中ブランコ乗りにさせられ心を病んだ双子の姉のこと。自分の火吹き芸で一家を支えた日々。身持ちの悪い母に翻弄された、ヘレナの人生とは…。演技未経験の少女達が危険な芸を演じた美しく幻想的なサーカスシーンは必見。
“糸”〜道を求める者の日記〜
■原題:ITO - Seitti - Kilvoittelijan päiväkirja
■英題:Ito: A Diary of an Urban Priest
■監督:ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)
■2008年 フィンランド、日本■111min
■言語:フィンランド語、日本語(Finnish, Japanese)■字幕:日本語
四ッ谷・荒木町の坊主バー。店主である僧侶の藤岡は夜な夜なカウンターで客の悩みに耳を傾ける。かつてボクサーだった彼は致命的なケガを負い、リングを下りて仏門に入ったが、東京の夜の街を彷徨う彼自身もまた過去に捕われ、悩みを抱えているのだった…。若い僧侶が人々と向き合い、対話をしながら、人生の意味を模索していく姿を追う。
世界中の有名監督が熱く語る記録映像と、初期の傑作で伝説的監督を振り返る。ドキュメンタリーには『不良少女モニカ』主演女優の証言も収録。
イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman):スウェーデンが世界に誇る巨匠。1918年、ウプサラの名家に牧師の子として生まれる。幼い頃から芝居や映画に夢中になり、46年『危機』で映画監督デビュー。『第七の封印』(57)『野いちご』(57)『秋のソナタ』(77)など数多くの名作を映画史に残す。私生活でも5回の結婚や脱税容疑騒動など話題に事欠かなかった。07年没。
グッバイ!ベルイマン
■原題:Trespassing Bergman■英題:Bergmans video
■監督:ヤーネ・マグヌッソン、ヒネク・パラス(Jane Magnusson, Hynek Pallas)
■2013年 スウェーデン■113min■言語:英語(English)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
ウディ・アレン、コッポラ、スコセッシ、ウェス・アンダーソン、ハネケなど数十人におよぶ有名監督、俳優たちが、カメラの前でベルイマンへの愛の告白とも言える想いを吐露していく。ベルイマンとの抱擁に泣き崩れるアン・リー、抱腹絶倒の精神分析に巨匠への愛憎が露呈するトリアーなど、ベルイマンファンならずとも必見の貴重な記録。
不良少女モニカ
■原題:Sommaren med Monika■英題:Summer with Monika
■監督:イングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)
■1953年 スウェーデン■96min
■言語:スウェーデン語(Swedish)
■字幕:日本語
陶磁器店で働くハリーは孤独な毎日を送るうち17歳の奔放な少女モニカと出会う。恋と解放感に酔いしれた二人の冒険の夏もいつしか終わり…。鮮烈なエロティシズムに溢れたモニカの存在感と、緻密でありながら生き生きとしたベルイマンの演出は、ヌーヴェルヴァーグをはじめ世界中の映画作家たちに大きな影響を与えることになった。
ジャパンプレミア作品、劇場未公開作品の中からジャンルを問わず選りすぐった北欧映画傑作選!
Maiko ふたたびの白鳥
■原題:Maiko: Dancing Child■英題:Maiko: Dancing Child
■監督:オセ・スベンハイム・ドリブネス(Åse Svenheim Drivenes)
■2015年 ノルウェー■70min
■言語:英語、ノルウェー語、日本語(English, Norwegian, Japanese)
■字幕:日本語
■提供:ハピネット、ミモザフィルムズ
15歳で日本を離れ、25歳でノルウェー国立バレエ団のプリンシパルとなった大阪出身の西野麻衣子。ダンサーとして充実した時期での妊娠・出産を経て、再び「白鳥の湖」の主役に挑戦する姿を追う。キャリアと出産の間で揺れる30代女性の等身大の姿、復帰を支える家族や仲間、そして北欧の生活と社会をノルウェー人女性監督が描く。
ビートルズ
■原題:Beatles■英題:Beatles
■監督:ペーテル・フリント(Peter Flinth)
■2014年 ノルウェー■107min■言語:ノルウェー語(Norwegian)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
67年、オスロ。ビートルズに憧れる高校生4人組は、ライブ出演が大きな夢。アルバム「サージェント・ペパーズ」に針を落とした時の驚きと喜び、ほろ苦いライブデビュー、転校生との恋、車のエンブレム泥棒など、少年たちの友情と音楽と冒険の日々が、ビートルズの楽曲とともに綴られていく、ノルウェー版青春グラフィティ。
ソング・フォー・イェテボリ
■原題:Känn ingen sorg■英題:Shed No Tears
■監督:モンス・モーリンド、ビョルン・ステイン(Måns Mårlind, Björn Stein)
■2013年 スウェーデン■119min■言語:スウェーデン語(Swedish)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
イェテボリに暮らすポールは音楽で成功することを夢見ていたが、人前で演奏しようとするとパニックを起こす弱点があった。幼なじみのジョニーとレナはそんな彼を支えてきたが、ポールはジョニーの恋人エヴァを好きになってしまい…。当地出身の人気ミュージシャン、ホーカン・ヘルストレムの楽曲に乗せて繰り広げられる友情と恋の物語。
愛する人へ
■原題:En du elsker■英題:Someone You Love
■監督:ペアネレ・フェシャー・クリスチャンセン(Pernille Fischer Christensen)
■2014年 デンマーク■100min■言語:デンマーク語(Danish)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
ミュージシャンとして成功を収めているトーマスは、ある日、薬物の更生施設に入る娘から孫のノアを押し付けられてしまう。困惑していた彼も徐々にノアと心を通わせるが、やがて悲劇が訪れ…。家族を顧みず、自分勝手にしか生きられなかった男が過去と向き合う再生の物語。ミカエル・パーシュブラントが渋い歌声を披露している。
ヴィクトリア
■原題:Victoria■英題:Victoria
■監督:トールン・リアン(Torun Lian)
■2013年 ノルウェー■105min■言語:ノルウェー語(Norwegian)
■字幕:日本語・英語【With English subtitles】
詩人のヨハンネスは、幼い頃から領主の娘のヴィクトリアを想い続けていた。素直になれないヴィクトリアもまた、彼への想いを募らせていたが、父親によって別の男との結婚話を進められてしまう…。原作は、ノーベル文学賞作家クヌート・ハムスンの自伝的小説。自尊心ゆえにすれ違いを繰り返す二人の、胸を焦がすほどの純愛が綴られていく。
巨匠ドライヤーが、不振に喘ぐ祖国の映画界復興を懸けて「最もデンマークらしい映画」として創り上げた幻の大作!
カール・Th・ドライヤー(Carl Theodor Dreyer):『奇跡』『裁かるるジャンヌ』などの作品で、後世の映画作家達に多大な影響を与えたデンマークの巨匠。1889年、私生児として生まれ、厳格な養父母の下で育てられた。ジャーナリストとなり映画評を手掛けた後、脚本家としても活躍、監督への道を歩むことになった。若い頃は気球に熱中し、気球乗りの役で映画に出演もした。
むかし、むかし
■原題:Der var engang■英題:Once Upon a Time
■監督:カール・Th・ドライヤー(Carl Theodor Dreyer)
■1922年 デンマーク■78min
■字幕:日本語・デンマーク語・英語【With Danish and English subtitles】
イリヤ王国の王女は並外れた美貌と高慢さの持ち主であったが、デンマーク王子の求婚を撥ねつけた時から運命の歯車が狂い出す。ドライヤー唯一のお伽噺。豪華絢爛なロココ調の王宮のセット、王女や侍女たちの美麗な衣装からポエジーに満ちた森の描写に至るまで、並々ならぬ意欲と力量が伝わってくる渾身の一作。
演奏:柳下美恵 (Mie Yanashita)
サイレント映画ピアニスト。1995年に朝日新聞社主催映画誕生100年記念上映会でデビュー。国内外の映画祭で活躍。即興演奏を得意とし、全てのジャンルを弾きこなす。600本を超す映画に伴奏をつけている。